今すぐ痩せたいあなたに伝えたいこと ―苦しみから抜け出すための、カラダへのアプローチ―

今すぐ痩せたいあなたに伝えたいこと ―苦しみから抜け出すための、カラダへのアプローチ―

ライフテーラー

ゆこ

長崎県出身、元丸の内OL。摂食障害や婦人科系の病気に苦しむも克服。OL時代、2017年にボディメイクの大会で日本一を獲得し独立。「ライフテーラー」=「心と体の健康をサポートする人生の伴走者」をコンセプトに掲げ、個人向けにはパーソナルトレーナー・オンラインコーチとして、また企業向けにはヘルスケア研修講師として活動している。2020年3月にはオンラインサロン「ライフフィットダイエット」をオープンした。

オフィシャルウェブサイト(https://lifetailor-yuko.com/

I LADY.が掲げる「Love, Act, Decide Yourself.」。I LADY. HOURSはそんな自分らしく生きる人を招いて、ひとつのテーマを深く掘り下げるコラムコンテンツです。第1回目のゲストはゆこさん。パーソナルトレーナーとしての経験からご自身の生業を「ライフテーラー」と名付け、人生の伴走者として心と体の健康をサポートしています。ゆこさんとお話しするテーマは「自分らしいカラダのつくり方」。過去に摂食障害を乗り越え、ボディメイキングの大会で日本一に輝いた経験から、正しいダイエットのアプローチを教えてくれました。

01

そのダイエットで、本当にキレイになれる?

ダイエットと聞くと「減量」をイメージする方が多いと思いますが、ゆこさんが考えるダイエットの定義とは何ですか?

ダイエットのそもそもの由来は「王様の食事管理」のことなんですね。本来は「健康のための食事管理」を意味していたものが、最近では「痩せる」という意味合いが強くなって、アメリカでは“Diet”“Die”が死ぬというブラックユーモアな感じで言われていたりします。

基本的に私の考えるダイエットは「健康」であって。心と体のどちらにも関わることだと思っています。健康って何かを除外するものじゃなくて、すごく自然なもの。その人に合うものって人それぞれ違いますし、極端に特定の何かを食べない、めちゃくちゃ運動するとか、そういうことではないんですね。

“Die”以外の言葉では何が正しいと思いますか?

“Natural”だと思います。“Healthy”が広まっているけど、そうではない気がしていて。その人が生まれた環境だったり、本来持っている心や性質も人それぞれなので、私は“Natural”という言葉が好きですね。一般的には「ダイエット=減量」とされているけど、私は「ダイエット=人生におけるライフフィット」と名付けています。人によって合うものは絶対に違いますし、それぞれに合う自然体を探すお手伝いという意味でパーソナルトレーナーをやっています。

では、ダイエットに取り組む上で大切なことって何でしょうか。

「最高のプロセスには最高の結果がついてくる」ということですね。1日で足が細くなる、痩せるとかはあり得ないから、「今日は自分の中では頑張れた!」という褒められるポイントがあって、その積み重ねが大事なんです。

些細なことでもいいから、ポジティブなことを見つけようということ?

ポジティブというよりも、あるものを見ようよ、ということですね。自然にたとえると、葉っぱに太陽が当たっていたら、表は光っていて裏は影じゃないですか。つまり表裏一体なので、悪いところがあるということは逆に言うと、良いところが絶対にあるということであって。みなさん、自分にないものばかりを見がちなんです。

自分に厳しく接するのはいいけど、細かいところで言えば、自炊ができるだけでも良いことだし、コンビニでご飯を買ったとしても自分のために選べているのだから良いこと。そうやって、良いところを見つけるという癖をつけることが大切です。私はダイエットやボディメイキングの話って、体だけではなくて人生に通ずることだと思っているので、不健康になって人生がないがしろになってしまっては意味がないんです。人生のための選択なのだから。

未来のためにありたい体と心を見つけようと。

そうです。周りがダイエットをやっているから自分もする、痩せている体がいいからダイエットするって、そもそも自分がやりたいことじゃない。でも、そういう人がすごく多いんですよ。私がお客様と話していると、自分を好きになりたい、コンプレックスを解決したいとか、自分自身の悩みが必ずあります。その一つひとつをクリアしたら他の人生の悩みも見えてくるし、それを解決していくためのサポートをお手伝いしたいと思っています。

02

運動で“運”を動かそう

たとえば、今の若者はダイエットについて必ずインターネットで雑多な情報を見てからトライしていると思うんです。SNSでゆこさんをフォローしている数万人のフォロワーたちも、そのあふれる情報を検索して、ゆこさんにたどり着いています。現代のダイエットには、インターネットから距離を置くソーシャルデトックスの意味合いもありますよね。

そうですね。私も20代の頃にワカメとナッツだけとか、とにかくカロリーゼロと書いてあるものだけを食べていましたし、生理が止まったこともありました。そうやって苦しい思いをたくさん経験して、自分のことがやっとわかったのは2017年頃のこと。自分の「心と脳」は別ということなんですね。

「心と体」ではなく、「心と脳」ですか。

合理化、最適化、効率化とか、「この電車に乗ったほうが安くて速いから、これに乗ろう」と考えるのが脳だけど、心は違う方向を向いていることが多くて。親、先生から、「こっちがいい、これはしない方がいい」と教えられてきて、私はそれにすごく苦しみました。でも心では、周りの目や評価を気にせずに動こうよ、ということなんですね。

誰しも泣くほどうれしかったことってあるはずです。たとえば、私は<サマースタイルアワード 2017>という大会で日本一になったけど、うれしかったのは日本一になれたことじゃないんだなって後で気づいたんですね。毎日続けられなかったことができるようになった、今までやれなかったことがやれた、という自分の中での達成感を得られたことが本当にうれしかった。だから、それを追求しようと思うように変わっていって、今、自分が最もできないと思っていたトライアスロンに取り組めるようになりました。

その一つひとつの積み重ねによって、自分を好きになれた。

まさにそうですね。自分が思っている固定観念として、できなきゃダメ、誰にでも好かれたい、美しくなければ認められない、結果を出せなければ愛されないとか、私自身ずっとそう思って生きてきました。だけど、それは自己肯定感の低さでもあって、すぐに上げようとするのは難くて大変なことなんですよね。私は自分が苦しかったから、苦んでいる人を減らしたいなという想いがあって、食事やトレーニングという入り口からそれを実現しようとしています。

ご自身と同じように苦しんでいる人を救いたいという気持ちが根底にあるんですね。

でも、会社を辞めた当時の私には資格もなければパーソナルトレーナーとしての実績もないですし、いきなり瞑想セミナーを始めるのも怪しいじゃないですか(笑)。じゃあ、ボディメイキングで示そうと思って、大会で日本一になることを目指したんですよ。自信を持つということは心からのアプローチもあるけど、食事と運動からのアプローチもあります。実際に運命が変わった私にとって、運動は「運を動かす」ものです。

「運を動かす」ってすごく良い響きですね。ゆこさんが思う、未来のために心と体をつくる上で大切なことって何でしょうか。

「バランス」が大事だと思います。あと、自分を褒めること。毎日、学校や会社に通うだけでもすごいことですし、料理することもゴミを出しに行くこともすごいことだから、些細なことから自分を褒めるということを意識してほしいですね。

03

正解は人によって違うから、まずは自分を知る

ゆこさんはボディメイキングの大会で日本一になっていることに加えて、摂食障害や数々のダイエット経験も発信しています。SNSや実際のパーソナルトレーニングを通じて、いろいろな悩みが届いていますよね。

漠然と「どうすれば痩せられるの?」「一番結果が出るのは何?」と答えを求められることが多いですね。でも、そういう人が負のループにハマりやすいんですよ。他には、それぞれの体型のコンプレックスですね。ピンポイントで言えば、30代を超えてからの体型が変わるという悩み、糖質制限を続ける期間とか。

内面的な悩みもありますか?

もちろん、あります。「自分を好きになりたい」「ゆこさんみたいにハッピーオーラを出したい」「強迫観念を拭えない」「虐待を受けたことがある」「性同一性障害なんです」とか。Instagramのダイレクトメッセージに長文を送る方もいます。そこには昔の私と同じように摂食障害に悩んでいる方もいます。10代の若者は大人の相談の仕方と若干違っていて、お母さんからはこうしろ、病院ではこうしなさいと言われているけど、自分が気持ちを吐き出せる場所がない、といった悩みが多いかなと感じますね。

私を頼ってくださるみなさんには、悩みの発散方法が食に出てしまって苦しんでいるという方が多くて。私は医師ではないけれども、医師ができない毎日の食事の選択というところで、自分を褒める習慣をつける、思考の視野を広げるためのお手伝いをさせていただいています。

いま聞いただけでも、いろいろな悩みがありますね。多くの人が悩んでいると同時に、悩みの種類がこんなにあると驚く部分もあるんじゃないですか。

私は苦しみの多い人生だったので、どんな相談をされてもあまり驚きはしないんです。苦しかったことを許せない気持ちとか蓋をしたい気持ちとか、いろいろなことを経験してきました。「苦しかったことがあってよかったな」とまではあまり言えないけど、その人の気持ちに共感して、私が心から救いたい、「一緒に走りましょう」と言えるのは、苦しみが多かったからだと思います。

頼る人たちに一貫して伝えていることとは何ですか?

自分に合うことをする、ということですね。その人に合うことは人によってさまざまです。いま合うものがあったとしても、来年には合わないかもしれないから、その都度、合うものを探す旅に出ましょう、という感じですね。

その探し方にヒントはありますか?

それは今の自分の生活にありますね。毎日の勤務時間、自分が住んでいる場所、帰り道にスーパーマーケットやジムがあるのか、朝起きるのが苦手、運動が苦手とか。そういった自分でわかっていることから組み立てていくので、誰もが運動も自炊もしなければ、ということではないんです。

合うものでいえば、合うかもしれないのに嫌いだと思い込んでいるものもあるので、料理をつくれない人でも「これが料理なの?」と思うほどすぐに取り組める簡単なものがいくらでもあリます。やったことがないことをやらないと狭い視野のままなので、徐々に新しいことを取り入れていくけど、基本的に組み立て方はその人の現状から考えていきます。そういう意味では、今を知っている人、自分を認めている人は強いですね。

まずは、自分の現在地を知ることが大切だと。

そう、すべてはそこからですね。というものはみなさんが共通して持っているものだから。でも、自分が食べているものって知らないことが多いですよね。2日前の晩ご飯を思い出せなかったりして。言えなくてもいいけれど、何か意識していることを答えられるのが大切。毎晩お米を抜いている、温かいものを取り入れているとか、そこに未来の自分を変えるためのヒントがあるんですよ。

取材:I LADY.編集部
文・編集:加藤将太
写真:仲地俊裕

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