今回の調査では、SRHR(性と生殖の健康と権利)に関するさまざまな項目について、男女の違いや世代間の差が浮き彫りになり、大変興味深い結果となりました。その中で私が特に気になった点についてコメントさせていただきます。
若者世代で結婚して子供を持ちたいという人は、男性で69%、女性で67.5%と7割に満たない結果でした。子供を持ちたくないという主な理由は経済的な不安で、本来の妊娠適齢期には経済的な理由で産むことを選択できていない可能性があるかもしれないと思いました。
また、性に関しても興味深い結果が得られました。セックスについて抱いているイメージが、若者男性の一番多い回答が「気持ちいい」(46.2%)であるのに対し、若者女性は「スキンシップ」(39.4%)、2番目は「愛が深まる」(33.8%)となっていて、「気持ちいい」は26.1%にとどまりました。この傾向は大人の方が強く、大人男性の51.3%が「気持ちいい」と答えているのに対し、大人女性では「気持ちいい」は17.7%で、5位までにランクインしませんでした。
性的同意について、9割近く(若者86.4%、大人86.9%)が「絶対に大事だと思う」と回答していました。一方、「性的同意とはどういうものか、正直わからない 」と若者の42.4%、大人の31.0%が回答しているので、若い世代から性教育の場で「性的同意とは」ということを教えていかなければいけないと思います。
また、「気が乗らないのにセックスに応じた」と回答したのは、若者男性では25.6%だったのに対し、若者女性では44.3%となっています。大人男性では39.1%、大人女性では65.3%と、その男女差が開いています。既婚の若者女性は65.4%、既婚の大人女性は67.2%と、既婚女性の方が気が乗らないのにセックスに応じた経験が多くなっており、夫婦間の性交同意やセックスのあり方についての議論が必要だと感じさせられました。
避妊法については、全体的にコンドームが主流ですが、低用量ピルを使用したことのある若者は13/6%で、大人の8.9%より多くなっており、徐々に若者に浸透しているようで嬉しいです。
また低用量ピル服用の経験は、若者女性で28.8%、大人女性で20.4%となり、徐々に浸透していると思われます。その入手先は「クリニックや病院」が最も多いですが(若者女性68.7%、大人女性83.4%)、若者女性ではオンライン診療が19.9%を占めており、インターネット購入・その他も8.9%となっていて、なるべく便利に手に入れたいというニーズを感じました。
性に関する情報源は、「インターネット・Webサイト」が若者34.9%、大人39.3%が一番多く、「アダルトビデオ・サイト」と答えた若者男性は27.8%、大人男性で30.2%となっており、まだまだ商業ポルノの影響は大きいことがわかりました。こちらからもセックスそのものを含めた性教育の充実と、大人がアップデートする機会が望まれます。
性や体のことを相談する相手については、全体の35.5%がいないと答えていて、まだまだ婦人科や医療機関がその受け皿になっていないことが伺われました。
今回の調査から、性的同意の大切さや、女性側が主体的にできる避妊方法については浸透してきていると思われましたが、性やセックスについてはまだまだ非対称だと思われました。
また、調査に協力くださった方のうち、性別を「その他」と答えられた方のサンプル数が少なかったので、数をもっと集めた意識調査の必要性を感じました。
宋美玄
丸の内の森レディースクリニック院長。婦人科専門医・医学博士・FMF認定超音波医・日本産科婦人科遺伝診療学会認定医。子育てと産婦人科医を両立、メディア等への積極的露出で“カリスマ産婦人科医”として様々な女性の悩み、セックスや女性の性、妊娠などに付いて女性の立場からの積極的な啓蒙活動を行っている。女性の健康とSRHRを実現を目指すヘルスケアデザインカンパニーCrumiiが企画・運営する医療・ヘルスケア情報メディアcrumiiの編集長も務める。