ラブリとして雑誌、テレビ、ラジオ、広告などで活動する一方で、近年は自身の内側から生まれる"言葉"を日本名である白濱イズミとして詩や執筆、音楽など様々なアプローチからアーティスト活動も行っている。2018年に初個展「言葉の記憶 展」(360°gallery)、2019年には「デジタルと私との関係、私はどうやら数字らしい 展」(COMPLEX BOOST)を開催。自著『私が私のことを明日少しだけ、好きになれる101のこと』(ミライカナイ、2018年)が発売中。現在は次作の執筆に取りかかっている。
オフィシャルサイト(http://lovelizm.com/)
I LADY.が掲げる「Love, Act, Decide Yourself.」。I LADY. HOURSはそんな自分らしく生きる人を招いて、ひとつのテーマを深く掘り下げるコラムコンテンツです。2人目のゲストはラブリさん。「言葉を使って、自分を好きになろう」というテーマのもと、インタビューの前編では、自分らしさに悩んできた経験から頭の中にあるモノ・コトを書くことの大切さを教えてくれました。後編はより具体的なアプローチをご紹介。すぐに始められる方法ばかりなので、自分を好きになるヒントを見つけてください。
「自分らしさ」や「自分をつくる」という意味では、新型コロナウイルスの影響による自粛生活は自分と向き合う時間が増える良い機会だったと思います。ラブリさんはどんな自粛生活を過ごしていましたか。
普段と同じように朝起きたら、ストレッチやヨガをしていますね。いつもより本を読む時間と映画を見る時間が増えて、新しい本を書く時間が確保できるようになりました。あとはSNSで発信する文章をまとめてみたり、自宅の壁にDIYでペンキを塗ってみたり、今までつくれなかった料理にもチャレンジしています。
ラブリさんの本『私が私のことを明日少しだけ、好きになれる101のこと』を、今だからこそ読んでほしいとInstagramで書いていましたね。
あの本は、本を読めない人や本が苦手な人に向けて書きました。自宅で過ごす時間が多いなかで、本を読めない人に対して改めて紹介したということと、家の中でやれることをたくさん書いた本なので、今こそ日常から気づきを得てほしいと思ったんです。
電子書籍は他のコンテンツにすぐ切り替えられるけど、本は一冊と向き合う。若者にとって、この違いはかなり大きいと思います。
デジタルに慣れてしまって、本の読み方がわからない、何の本を読んだらいいのかがわからない、という質問が多いんですよ。いきなり視点を変えるのって難しいですよね。たとえば、読んでほしい記事があっても、難しいことが書いてあるからやめよう、となってしまうじゃないですか。だから、若者寄りの言葉で社会のことを盛り込んでいくというテクニックが重要だと思っていて、それを小出しにして慣れていけるように、私たち発信する側が労力を使わなければいけないですね。
ラブリさんとしては、どんなことを試してみましたか?
「“デジタル”と“私”との関係 私はどうやら数字らしい」というSNSをテーマにした展示を中目黒でやりました。この展示は10代、20代にも来てほしいという想いがあって、興味がない人たちにもわかりやすい展示方法を考えた結果、難しい言葉やアプローチを使わずに「インスタ映え」を逆利用する見せ方を意識しました。文字も若い子が見慣れていない明朝体ではなく、iPhoneのディスプレイで普段目にしているものを使ったんですよ。
入り口は何個もあるけど、奥に行けば、こちらが用意している目的地にたどり着ける。そうやって、若者が無意識に社会意識を持てるようになっていけるのが理想ですね。
この自粛期間を通じて、何か新しい発見はありましたか?
みんなが同じテーマの世界で生きるようになったので、ある意味でチャンスというか。コロナというあまりにも大きなテーマが共通していて、しかも、それは日本だけではなくて世界共通のことでもある。そこに対して強いチーム意識が持てるし、ゼロの状態から始められることがたくさんあるんだなって。捉え方次第で自分らしさを見つけられる。そのための環境が整ったというか。
コロナ以前よりも日本以外の情報がわかりやすく入ってくるように感じるし、政治についても若い子たちが知るためのわかりやすいきっかけが増えていると思います。そこから自分がつくりたい未来を考えるためのきっかけが得られる。それに気付ける人とそうでない人に分かれてくるんじゃないかな。
自分のことも大事だけど、世界を見ると自分はもっと広がるというのは、I LADY.も大切にしていることです。ラブリさんが「自分らしさ」「自分をつくる」という意味で大切にしていることは何ですか?
10代の頃は「自分らしさってなんだろう?」ってずっと考えていました。でも、答えはわからなかったんですよ。後になって気づいたのは、その時々の選択をしていけば、それが自然と自分らしさにつながっていくということ。意志をもって物事を選んでいく。そのためには考えなければいけないし、「本当はこう思っているんだけど、怖いからやめておこう」ではなくて、そこで勇気を出して選んでみるということを繰り返さないと、結局は自分らしさに悩み続けてしまうと思いますね。
自分のことを好きになれないという悩みも同時にありそうですね。
以前、Twitterで「自分のことは好きですか?」というアンケートをやってみたんです。一番多かったのは、「自分のことを好きになりたいけどなれない」という意見でした。みんな嫌いになりたいとは思っていなくて、内心どこかでこのままではダメだろうなという危機感があるんですよね。可能性は人それぞれに必ずあるけれども、始め方がわからないだけであって、それをつくってあげることが私の役割なんです。
前編のインタビューで、日記や詩に言葉を書き出すことが自分らしさを見つけるための解決策になる、というお話がありました。たくさんの言葉を発信してきたラブリさんの経験から、今すぐ始められるポイントを教えてください。
日記は続かない可能性があるのでオススメしないですね。なので、まずは自分の好きなところ、嫌いなところを書き出すことが一番わかりやすいと思います。私の予想では、自分の好きなところよりも、嫌いなところのほうが多いと考えていて、その“嫌い”がなぜ嫌いなのかをひもとく行為をするというか。頭の中に浮かぶ不安要素を書いて、それがどこから来ているのかを小分けにしていく作業をしてみると、答えを見つけられると思います。
悩みやコンプレックスって、意外と曖昧なものだったりしますよね。
そうですね。頭の中で、なんとなく嫌いだなと思っているだけの可能性もある。頭の中にあるものを書くことって小さな勇気だと思うんです。ラクな気持ちで書き出してみて、言葉を書くことに慣れていくということがスタートですね。
スマートフォンに入力するよりもノートに書いたほうがいい?
ノートがいいですよ。書き続けていくと、自然と自分の要素が詰まった一冊になっていくので、そういう体験もしてほしいです。
先ほど新しい本を書いていると言っていましたが、どんな内容ですか?
『わたしという選択』というタイトルの本です。選択をテーマにしていて、わかりやすく10代の子たちも読めるものにしたいと思っています。私が10代で上京してからのことを語りながら、選択とはこういうものなんだ、と読み解いていければいいなと考えています。
今回のインタビューにぴったりのテーマじゃないですか。ラブリさんの具体的な選択がエピソードとして出てくるんですね。
物語として書いているところもあるし、曖昧な不安を具体的な不安に変える方法とか、テーマを決めて書いているところもあります。秋には発行できたらいいですね。
I LADY.は「Decide Yourself」と発信して、選択を重要視しているんです。誰もが自分で決める権利や自由がある。みんながそうだから私もそうするのではなくて、自分の選択に責任を持つ。そうやって、一人ひとりが選択できる社会になってほしいと思うのです。ラブリさんが今回、選択にフォーカスして執筆しようと思った理由は何ですか?
振り返ってみると、私は選択で自分ができ上がっているんだなと思ったんですよ。自分が見えてきたと思えたのは、私が自分の本当の気持ちを最終的に選んだ時です。選択を何回積み重ねたかによって、自分の自信につながっている。だからこそ、選択することが大事なんだよというメッセージを一冊の本を通して伝えたいですね。
答えを相手任せにして、それを自分の答えにするのは違いますね。
考えるきっかけをつくらないと、いつまでも私の答えがその人の答えになってしまいます。それでは社会に出たり、大人になったときに、ものすごく苦労します。自分の選択に責任を持っていかないと、結局は相手任せの人生になってしまう。あくまでも、私は自分の経験上の正解を伝えているだけで、「私はこう思うけど、あなたはどう思う?」というスタンスなんです。
ラブリさんにとって、ターニングポイントになった選択は何ですか。
25歳くらいの頃にたくさんテレビに出ていたとき、自分のためにテレビの出方を変えたんです。自分がどれだけ表現活動をしたり作品をつくったりしても、メディアに植え付けられた印象ってなかなか薄まらないだろうなと思ったので、露出を減らすように意識したのは大きな選択でした。
ネガティブから抜け出して自信をつかむのは難しいことだけど、ラブリさんがネガティブから抜け出せた大きなポイントを教えてください。
ネガティブになってしまう瞬間があるからポジティブな部分が活かされるというか、私にネガティブな要素がなかったら今の自分になっていないなって大きく気づけたんですね。ネガティブと仲良くなるという感覚になれたからこそ、ある意味でネガティブと離れることができたと思います。
それは勇気を得る言葉だと思います。誰もがネガティブになることはありますから。
ネガティブは悪いことではないんですよね。今の年齢の問題を解決しても、その人の年齢に合わせたネガティブは必ずあります。結婚して幸せに過ごしていてもそうですし。なくならないからこそ、ネガティブと上手く付き合っていこうよと伝えたいですね。
取材:I LADY.編集部
文・編集:加藤将太
写真:香賀万里和