I LADY. REPORT REPORT 国際ガールズ・デー月間に合わせ、オンラインイベントを開催<br>徳島県のピア・アクティビストが企画し、性教育ユーチューバーが講演

国際ガールズ・デー月間に合わせ、オンラインイベントを開催
徳島県のピア・アクティビストが企画し、性教育ユーチューバーが講演

2020.12.07

2020年10月25日、I LADY.は徳島のピア・アクティビストが立ち上げた「ピアとくしま」とともに、オンラインイベントを開催しました。

はじめに、今回のイベントを企画したピアとくしまのメンバーがあいさつ。

「私たちのまわりには、小さいお子さんから中高生まで、さまざまな年齢のお子さんを持っている人がいるけれども、性教育について問うと『うちの子に性の話はまだ早い』『性についてどう伝えていいかわからない』と否定的で敬遠するような反応が多いので、性教育に対するハードルをもっと下げ、親世代が自分にとっても必要で、大事なこととして考えられるようにしたい」と、この企画に込めた願いを語りました。

性のこと、いつ話す? どう話す? 親世代の疑問に回答

ゲストの講師は、助産師の資格を持ち、性教育YouTuberとして活躍するシオリーヌさん。

(写真右がシオリーヌさん。YouTubeチャンネルはこちら

看護師として病院で働く中で、妊娠する前から性や妊娠・出産などについてきちんと知ってほしいと考えるようになったと話します。若い世代が多く利用している動画サイト(You Tube)で性教育の情報発信をスタートしたのは2019年2月。約1年半で、チャンネル登録者数は13万を超えました。今回のイベントでは講師のシオリーヌさんと、I LADY.ディレクターの小野美智代(ジョイセフ)が、参加者から寄せられたさまざまな質問に答えていきました。
最も多く寄せられた質問「性について子どもに話すタイミング」については、子どもが性に関する質問をしてきた時がチャンスで、その時に事実に基づく情報を伝えるのがよいと提案。また、日常生活でも自分のプライベートパーツをお風呂できちんと洗うことを通じて「大切さ」を伝え、他人に触られたり、見られたりした時などに子どもが大人に報告できる関係をあらかじめ作っておくことをアドバイスしました。

「子どもには高校を卒業するまでは性的な関係を持って欲しくないけれども、それを伝えるべきかどうか」という質問に対しては、シオリーヌさんが「自分の体をどうするかを決められるのは当人(自分)だけ。たとえ未成年であっても、親は『あなたはセックスすべきではない』と指示するのではなく、本人がきちんと意思決定ができるように正しい情報を伝え、何か困った時や迷った時にいつでも相談にのる姿勢を見せることが大切」と答えました。
最近は、学校の先生たちからも、「どのように性教育に取り組めばいいか」という相談を多く受けるシオリーヌさんは、性教育に関する関心が年々高まっていることを実感していると言います。
一方、性犯罪については、「私自身も今の日本で子どもを育てることに不安があるけれど、刑法における性犯罪規定の改正の動きや、性犯罪を見かけた人が声をかけるなどの介入をして被害者を守る(アクティブ・バイスタンダー*)ことの呼びかけなどを通して、変わっていけばと思います」と力強く前向きな持論を語りました。
* シオリーヌさんらが制作した「#ActiveBystander=行動する傍観者」の動画はこちら

性教育はセックスの話だけじゃない、自分と他人を大切にするための知識

最近は、性教育に関心を持つ人が増え、インターネットでも性の情報を伝えるコンテンツが増えてきています。それでもシオリーヌさんは、「すべての子どもが知識を得られるように、学校で性教育をするのが理想」と語りました。しかし、今の日本では、文部科学省の学習指導要領で、「中学生の教育では性交については扱わないものとする」とし、その中で示されていない内容については、指導にあたって保護者の同意などの複雑な条件を定めているため、先生方も自主的に性教育に取り組みにくくなっています。
シオリーヌさんは、「日本の学習指導要領も、世界の性教育のスタンダードに追いつける内容になってほしい。性教育では、事実を包み隠さず伝えて、子どもたちが自分の意思できちんと決められることを手伝うのが、保護者や先生に必要な姿勢ではないか」としました。

性教育というと、「性行為の話」と考えている人もいますが、実際には人権や文化、価値観、他人とのパートナーシップなどの話だと、シオリーヌさんは強調します。親世代に、「性教育とはなんなのか」についての情報を提供する場があれば、保護者も先生も安心できるのではないかと語りました。
また、自分を大切にする(Love Yourself)ことと関連して、「誰からも大事にされた経験のない子どもは、自分を大事にする意味がわからない。そんな子どもたちに対して、『自分を大事にしろ』と叱るのではなく、まずはその子や大人も自分自身を大事に扱ってみせる必要があります」と強調しました。

イベントを主催したピアとくしまのメンバーからは、「性教育で大切なのは大人が子どものために何かを決断するのではなく、子ども自身が選択できるようにする、ということが印象的だった」といった感想がありました。

I LADY.では、11月28日、新たに「リージョナル・アクティビスト」育成を目指して、オリエンテーションを開催しました。これまで、I LADY.では若い世代を中心に、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR)について発信する「ピア・アクティビスト」を育成してきました。1世代上の「リージョナル・アクティビスト」は、情報発信に加えて、地域で性教育に取り組むピア・アクティビストや若者へのサポートの役割も担っていただく予定です。

オリエンテーションは今後も開催していきますので、幅広い世代が協力して自分らしく生きられる社会を実現するために、ぜひこれからもご関心をもっていただけると嬉しいです。

リージョナル・アクティビストについての詳細はこちら

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