I LADY. EVENT EVENT 子どもも大人も一緒に。「自分も、相手も大事にするコミュニケーション」を体験!文京区で包括的性教育講座を開催

子どもも大人も一緒に。「自分も、相手も大事にするコミュニケーション」を体験!文京区で包括的性教育講座を開催

2025.08.21

ジョイセフはI LADY.事業の一環で、2025年6月29日(日)包括的性教育講座【子どもも大人も一緒に体験!わたしも、あなたも大切にするコミュニケーション〜人生で大事なことはだいたい『包括的性教育』が教えてくれる〜】を、文京区にゆかりのある5歳以上の子どもから大人を対象に、大塚地域活動センターで開催しました。
本イベントは、ジョイセフが文京区ダイバーシティ推進担当と連携して実施する、I LADY.
ピア・アクティビスト(下に詳細)によるSRHR*普及啓発事業の一環として実施したものです。

*SRHR=セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ:性と生殖に関する健康と権利

I LADY.リージョナル・アクティビスト(下に詳細)の柳田正芳さんを講師に迎え、包括的性教育で取り扱う「自分を大事にし、相手も尊重した人間関係やコミュニケーション」を、ピア・アクティビストによるミニお芝居なども交えながら、子どもも大人も一緒に楽しく学びました。

I LADY. ピア・アクティビスト / リージョナル・アクティビストとは

〇ピア・アクティビスト
学生や企業等で働く18-29歳の若者。ジョイセフの実施するI LADY.ピア・アクティビスト養成研修を受けた上で、「SRHR」を広める活動をしています。
ピア・アクティビストたちは研修後、身近な人にSRHRを伝える活動計画を立てます。

文京区在住・在勤や区で活動をしているI LADY.リージョナル・アクティビストのサポートも得ながら、大学の講義の一部を担当したり、学園祭のブースで発信したり、友人たちに呼びかけて有志を集めたりしながら、同世代の若者に知ってほしいという強い思いで、熱心に活動しています。
文京区ピア・アクティビストによるSRHR普及事業についてはこちら(文京区HP【外部】)

〇リージョナル・アクティビストとは
上記I LADY. ピア・アクティビストの活動を支える30歳以上の大人サポーターのことです。様々な分野で活躍している「大人」(文京区の場合は、区や地域に縁のある方)が、SRHRを伝えるピア・アクティビストの活動に賛同し、発信する場や方法のアドバイスを通じて地域で活動する若者のために協力しています。
本イベントの講師である柳田正芳さんも、I LADY.リージョナルアクティビストのお一人です。

講師プロフィール

柳田 正芳 氏:
性の健康イニシアチブ 代表 / かわさき包括的セクシュアリティ教育ネットワーク 代表 / I LADY.リージョナル・アクティビスト。
「自己決定」「人間関係」「コミュニケーション」「尊厳」「権利と責任」といった観点から「性の健康と権利」に関する活動を行っている。「安心安全に性の話題を話せる場づくり」としてのイベント開催などに取り組む。

包括的性教育(CSE)とは?

人権を基盤に置き、二次性徴や生殖の仕組みなどの身体的な内容や性に関する知識だけでなく、人間関係・ジェンダー平等・性の多様性・幸福など幅広いテーマを多角的に、包括的に扱う性教育のことです。英語表記 “Comprehensive Sexuality Education” の頭文字を取って “CSE” ともいいます。

世界各国でのCSE導入を推進するためにUNESCOがまとめた「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」では、以下8つのキーコンセプトを主軸に、5歳から発達に応じた4つの年齢グループ(5~8歳、9~12歳、12~15歳、15~18歳以上)に分けて、様々なトピックを繰り返し学びます。

  • 人間関係
  • 価値観、権利、文化、セクシュアリティ
  • ジェンダーの理解
  • 暴力と安全確保
  • 健康と幸福のためのスキル
  • 人間のからだと発達
  • セクシュアリティと性的行動
  • 性と生殖に関する健康

今回はこれらのキーコンセプトのうち、「人間関係」「価値観、権利」に焦点を当て、5〜8歳の子どもにもわかるように「健康的な人間関係・コミュニケーションとは何か」を子どもと大人が一緒に参加型で学ぶ講座を行いました。

第1部:「わたしもOK、あなたもOK」な人間関係をわかりやすく学ぶ

第1部は、パペット人形劇や絵本の読み聞かせを通して、「健康的な人間関係」について学びました。
前半では、柳田さんがクマとパンダのパペット人形を使い、2人が砂遊びをする想定で2種類の会話を披露しました。どちらの会話も前半は同じ内容で、クマとパンダが協力してお城を作ることになりますが、途中から会話の内容・雰囲気が変わります。


1つ目(上画像)は、丁寧な言葉で相手に協力を促し、協力してもらったことに対する感謝を伝える内容。2つ目(下画像)は、乱暴な言い方で相手に一方的にお願いし、最終的には相手に感謝を伝えず一人で行動するという内容です。これらを比べ、「健康的な人間関係・コミュニケーション」と「健康的でない人間関係・コミュニケーション」の違いを学びました。

後半では、柳田さんが代表を務める、かわさき包括的セクシュアリティ教育ネットワークが制作した性教育絵本『ゆめのかなうまち』*の読み聞かせを通して、「自分を大事にすること」「相手の考えを尊重すること」の重要性や、その両方が実現された時、みんなが幸せになるというメッセージを学びました。
『ゆめのかなうまち』には、自分のやりたいこと・なりたい姿を叶える登場人物がたくさん出てきます。絵本の読み聞かせ後、参加者はグループごとに「自分だったらどんな姿になりたいか、何をしたいか」を話し合いました。
*絵本『ゆめのかなうまち』のあらすじはこちら(かわさき包括的セクシュアリティ教育ネットワークHP【外部】)

読み聞かせの様子

絵本『ゆめのかなうまち』表紙

第2部:「わたしもOK、あなたもOK」なコミュニケーションを考える

第2部では、子どもがお絵描きをする時の材料選びの場面を想定し、「健康的でないコミュニケーション」から「健康的なコミュニケーション」に変えるための伝え方を考えるワークを実施しました。
まず始めに、ピア・アクティビスト3名が「健康的でないコミュニケーション」のミニお芝居を演じます。その後、参加者全員がグループごとにお芝居のスクリプトを見ながら、健康的なコミュニケーションになるように伝え方や表現を修正しました。

スクリプトを考えるグループワーク

修正したスクリプトの一例

最後に、修正したスクリプトを使ってピアがお芝居を再演することで、「わたしもOK、あなたもOK」な人間関係・コミュニケーションを参加者全員で体験しました。

グループワークで作ったシナリオを演じるピア

参加者からの反響

5〜12歳の子ども6名、大人17名の計23名が参加し、グループワークでは子どもと大人が一緒に意見や感想を交わしました。
講座終了後に実施した大人の参加者を対象としたアンケートでは、
「これからはできる限り、相手を否定せず考え方の違いを受け止めていきたい」
「他者との良好な人間関係もSRHRの大事な一歩だと初めて知った」
といった声が寄せられました。他にも、
「子どもと講座の内容を話しながら帰り、子どもも自分も学びが深まった」
「今回は大人1人で参加したが、孫と一緒に参加したかった」
といった感想も寄せられ、CSEで伝える「自分も、相手も大事にする人間関係・コミュニケーション」を、子どもも大人も一緒に体験しながら学ぶという本講座の意義を実感できました。

I LADY.ピア・アクティビストの声

ピア・アクティビストたちは普段、主に10~20代の同世代の若者を対象にした活動を行うことが多いため、今回のように未就学児も含む子どもと大人が一緒に参加するイベントに参加するのは貴重な経験となったようです。
「講師の柳田さんが子どもにもわかりやすいように、お芝居や絵本を用いて講座を進めているのを見て、伝え方の工夫について新たな発見や学びがあった」
「グループワークでは、子どもも大人も皆が意見や感想を言いやすいように、声がけを工夫した」
といった声があがりました。

2025年度、文京区と連携したI LADY.事業では今後もピア・アクティビストが主体的に企画・運営する、一般公開イベントを実施予定です。今回のCSE講座での経験も活かしながら、SRHRについての知識と情報を伝え続けていくことを期待しています。
今後のイベント情報は、I LADY.の公式インスタグラム(@ilady_srhr)をフォローしてお待ちください!

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