ILADY

開催日時:2017年10月10日(火)16:00〜17:30
開催場所:銀座CHAIRS(東京都中央区銀座8-9-13. K-18 ビル 2F)
主催:国際協力NGOジョイセフ
参加者:39人(20代前後の大学生が中心)


 

2017年10月10日、国際ガールズデー(10月11日)に際し、「I LADY.」(アイレディ)キャンペーン(*1)の一環として、日本の若い女性(10代〜20代)に向けた情報発信の一環として、体験型イベント「I SELECT SHOP」(アイセレクトショップ)を開催しました。会場は銀座CHAIRS。
「I SELECT SHOP」は、参加者と同年代である20代の大学生たちが中心となって企画したイベントです。おしゃれなセレクトショップを模した会場内において、買い物を楽しむような感覚でSRHR(セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ=性と生殖に関する健康と権利)について考え、「自ら選択する」(=I SELECT)きっかけを提供。日常会話では恥ずかしかったりタブー視されていて話題にしにくい「性」をテーマにしながらも、同世代の共感を呼ぶ形で理解を深めてもらいました。
初めての取り組みでしたが、「知らなかったことがたくさんあった」「自分が考えたこともない選択肢があった」など参加者の評判も良く、今後も「I LADY.」キャンペーンと共に、「I SELECT SHOP」を各地で展開していく予定です。
 
(*1)「I LADY.」キャンペーンとは
2016年3月、国際女性デーのタイミングに合わせてスタート。日本の10代〜20代の女性に向けて、SRHR(セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ=性と生殖に関する健康と権利)の重要性に気づくきっかけを提供。主にウェブサイトやアクティビスト(学生たちのピア・アクティビスト含む)の普及活動、メディア媒体とのコラボレーション企画を通じて情報発信しています。
 


 

プログラム

進行:前島一成(まえじまいっせい/1996年生まれ/桜美林大学3年生)
 
1. オープニングトーク:小野美智代 「I LADY.」発起人
 
2. 体験型ワークショップ「I SELECT SHOP」
ファシリテーター:新居日南恵さん におりひなえ/1994年生まれ/慶応大学大学院在学/「manma」(マンマ)代表/「I LADY.」アクティビスト
 
3. I LADY. セッション
講師:櫻井彩乃さん さくらいあやの/1995年生まれ/聖心女子大学4年生/「Torch for girls」(トーチ・フォー・ガールズ)代表/「I LADY.」ピア・アクティビスト
 


 

【オープニングトーク】

世界の10代女性の死因1位は妊娠・出産・中絶

オープニングトークにおいて「I LADY.」発起人であるジョイセフの小野美智代は、若い参加者に向け性と生殖に関する健康と権利(セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ 以下SRHR)において「選択すること」の重要性を強調し、「医療機関がない、避妊具が手に入らない、薬もないというように、選択肢がないがゆえに、女性が命を落とす場合がある途上国。一方で医療は進んでいるにも関わらず、正しいSRHRの情報や知識を得る機会が乏しく、インターネット上の情報が氾濫する日本で生活する中で、SRHRにまつわることを『自分で選ぶ』体験をしてほしい」と伝えました。
WHOの発表によると、世界の10代(15-19歳)の女性の死因1位は「妊娠・出産・中絶」(*2)です。日本と比べて途上国では、SRHRにおいて常に命のリスクが身近にあることを伝えた上で、小野は日本の状況について以下のように話しました。
 
「日本では望まない妊娠で中絶する件数は年間17万件以上(*3)。また、性感染症で悩む女性も増えています。子宮頸癌で亡くなる女性は年間で約3000人に上ります(*4)。この状況の中で私たちジョイセフが、『途上国の女性の命を守るために重要なSRHRの支援を!』といっても響かないのは当然。まず日本の若い女性、男性にSRHRを自分の問題として認識してもらいたい。ジョイセフが目指すのは、日本を含めた世界中のすべての女性がSRHRを受け取れる社会。まずは日本の一人ひとりのSRHRへの意識が変わって、自分で『選択』し、自分の人生を自分で決められるようになることで、いつか世界がよくなると信じてI LADY.キャンペーンを立ち上げました」
 
(*2)Global Accelerated Action for the Health of Adolescents (AA-HA!): Guidance to Support Country, 2017, WHO他
(*3)平成27年度衛生行政報告例の概況(厚生労働省)
(*4)人口動態統計(厚生労働省大臣官房統計情報部編)1958-2015年
 


 

【体験型ワークショップ(WS)「I SELECT SHOP」】

ショッピング感覚のWSで楽しく自分の性と向き合い、選択する

体験型ワークショップのファシリテーターは慶応大学大学院在学中で、I LADY.アクティビストとして活動する新居日南恵(におり・ひなえ)さん。新居さんの案内の元、参加者たちは買い物かごを手にし、会場内の「ショップ」型ブースでSRHRに関わるさまざまな「選択」を体験しました。
カラフルなカップケーキやオシャレな小物が飾られたショップに、SRHRにまつわる問いを記したボードと、さまざまな回答の選択肢を記したカードを設置。参加者は「問いかけに対する自分の答え」に近いカードを選んでカゴに入れます。問いの内容は体のケアのことから、パートナーとの関係、性感染症に関わることまでさまざま。(問いと選択肢の内容は段落末に記載)
答えを並べて比較し、じっくりと考えて選び取る。新居さんは「何が正解ということはない」と語りかけます。このワークショップは、SRHRにおいて重要な「選択肢を知り、自分に必要なものを検討し選び取る」プロセスを「ショッピングにおいて商品を選ぶ」プロセスと重ねることにより、率直には口にしづらいテーマを身近に感じてもらうことが狙い。最初は戸惑いを見せた参加者にも徐々に笑顔が広がり、ボードの前で悩みながらも、選択肢のカード選びをショッピングのように楽しんでいる様子がうかがえました。

ワークショップ後の質疑応答において、参加者たちは、以下のように感想を述べました。
「日常では考えてもみなかった質問があって、意外と自分のことを何も考えていなかったんだとわかりました。これからもっと自分のことを考えたい」
「性に対して真剣に考え、話し合う機会が、特に日本は少ないのかなと感じた」
「『自分はこうだ』と決めつけていたけれど、『この選択肢でもいいんだ』って、新しい視点が増えました」
司会を務める男性の前島さんも「生理用品の種類がこんなにあって選択の余地があるとは思わなかった」と驚きを伝えました。


問いのボードと回答カードの内容例

「避妊アイテム。誰が用意する?」
 →自分/パートナー/2人とも/話し合って決める/その他

「望まない妊娠を防ぐために。あなたの対処法は?」
 →コンドーム/ピル/IUS・IUD(子宮内避妊具・子宮内システム)/避妊手術/セックスをしない

「生理アイテム、あなたは何派?」
 →紙ナプキン/布ナプキン/タンポン/月経カップ/その他

「デリケートゾーンを清潔に保つ方法は?」
 →やさしく洗う/ヘアを短く整える・脱毛する/下着に気をつかう/ケア用品を使う/その他

「恋人といい関係でいるためには?」
 →お互いを尊重する/自分も相手も自由でいる/束縛や依存をしない/その他

「気分がのらない日に相手がしたがっている。どうする?」
 →したくないと伝える/はぐらかす/自分の気分ものせる/その他

「性感染症になりたくない!どうすればいい?」
→コンドームを使う/自分も相手も検査を受ける/不特定多数と関係をもたない/セックスをしない*オーラルも含む
 


 

【I LADY. セッション】

同年代ピア・アクティビストが「恋バナ」を交えてSRHRを伝える

続くセッションは櫻井彩乃さんが担当。学生達の意見を取り入れたスライドを用いて「I LADY.」キャンペーンのコンセプトや、学生に身近な恋愛でよくある男女のやり取りにデートDVのケースが隠れているという問題を取り上げ、SRHRの課題について解説。さらに今回初めて配布された「I LADY.ノート」を利用しながらセッションを進めました。
櫻井さんは同年代ならではの話題と言葉を選びが巧み。たとえばデートDVの話題に入る前には参加者同士が「恋バナ」(恋愛話)をする時間を設けるなどの工夫を凝らすことで参加者を飽きさせず、SRHRに関わるさまざまな問題を「自分事」として受け止めてもらうための時間となりました。

I LADY. NOTE が登場

櫻井彩乃さんのI LADY.セッションの中で登場したI LADY. NOTE。2017年国際ガールズデーに際し発行されました。このノートは、日本の10代・20代に向けてSRHRについて考えるきっかけを提供するツールになっており、I LADY.の名前の由来であるLove yourself, Act yourself, Decide yourselfを切り口に、ノートに書き込みながら自分のこと、人間関係のこと、そして体のことについて考え、SRHRの知識に触れられるようになっています。10月11日より無料配布がスタート。NOTEの詳細、オーダーは、こちらのサイトにて http://ilady.world/note/
 


 

【登壇者・参加者の感想/イベントを終えて】

避妊アイテムは誰が用意する?
自分で選び、行動することの大切さと難しさを体感

参加者たちは、楽しみながらSRHRを学ぶことによって新しい気づきを得て、自分の体や将来に向き合い、自ら選び取ることの重要性と難しさを実感した様子がうかがえました。また、「何かを変えよう」「新しい事に挑戦しよう」と考えるきっかけになった方もいました。
イベント終了後に、参加者は「ワークショップで、その気がないときに彼から誘われたらどうするのか?といった質問に対し、当然、断ることを選んだのですが、『実際に断れるのか?』とよく考えたらすごく難しいと気付いた」「避妊具は男性だけではなく、自分でも用意するべきなんですね」「一緒に参加した友人が実際に布ナプキンを使っていると知った」「生理が辛いので産婦人科に行こうと思う」など感想を述べました。
今回初めてジョイセフのイベントに参加した方々にも、楽しみながら何かを得て頂けた様子を受けて、小野も「手応えを感じている。今後も各地に広げていきたい」と話しています。

参加者・登壇者コメント

*イベント終了後のジョイセフの取材に対するコメントです

参加者:持田伊織さん(もちだ・いおり/21歳/大学3年生)
男性の意見や行動に流されてしまうことがあり、身近な友達も同じ事で悩んでいて……。結構大きな問題じゃないかと感じていたので、今日は参加しました。
未来に対するポジティブな雰囲気があり、すごく前向きになれるイベントでした。将来に対する不安はたくさんありますが、今日参加することにより「結婚や妊娠について前向きになってもいいんじゃないか」と思えました。
ワークショップでは自分にとって新たな視点が見つかりました。「避妊アイテムは誰が用意する?」とう問いかけがあり、今まで「男の人が用意するもの」だと思っていたが「両方」という選択肢のカードがあり、「自分も用意しないといけないのかな」と気が付いたんです。
また、自分についてもっと考えようと思った。自分に自信がなく、周りに流され、その場の意見に合わせてしまうことが多いので。もっと自分のことを考え、自信を持つために、小さなことではありますが、体にいい物を取り入れたり運動したりして、自分を大事にしていこうと思います。

参加者:中村夏子さん(なかむら・なつこ/21歳/大学3年生)
大学の授業でジョイセフのことを知り、学生でもできることはないか?と考えていたときに「I LADY.」の企画が立ち上がったのでピア・アクティビストとして活動しています。
今日のワークショップで、自分がその気がないときに彼が迫ってきたらどうするか?という質問がありました。当然「断る」を選ぶ……と考えたのですが、「実際に彼にそういうことをされたら本当に断れるのかな?」と悩んでしまいました。頭では理解していても、「実際にそうなったら断れない雰囲気ってあるな、難しいところだな」と気付かされました。
生理用品に関する質問では、一緒に来た友人が布ナプキンを選んでいて、実際に布ナプキンを使っている人が身近にいると知ることができました。
参加してみて、産婦人科に行こうと思いました。生理前後の症状がとても重いので診察を受けて低容量ピルを処方してもらいます。
また、「月経カップ」の現物を初めて見たので、買って帰って挑戦します。

ワークショップファシリテーター: 新居日南恵さん(大学院1年生)
入りづらいテーマですが、POPなアプローチで楽しく開催できてよかったです。最初は戸惑っていた方たちも、歩きながら選んでいるうちに恥ずかしさも薄れて会場が和んでいきましたよね。
私自身も、今の取り組みを諦めることなく続けていきたいです。

I LADY. セッション講師:櫻井彩乃さん(大学4年生
いきなり「性」のことを話すのは抵抗がある人が多いと思うが、今日は楽しく考えることができたのでは。みんなにも、自分の人生を誰かにゆだねたりせず、自分で考えて行動してほしい。そのためには強くなる必要がありますが、日本の女の子が“武器”を持つためにコンテンツや教育はもっと必要だと思います。

司会: 前島一成さん(大学3年生)
ジョイセフの活動は女性支援ですが、性別にかかわらず知ってほしいことがたくさんある。同世代として共感をもって発信していきたいし男性にも足を運んで欲しい。男性も変わっていかなきゃ。姉と妹がいることもあり、今まで女性視点で考えるようにしてきましたが、今日のイベントで全然今まで知らなかった選択肢を知ることができました。

ジョイセフ 「I LADY.」発起人: 小野美智代

初めての取り組みだったのでドキドキしていたが、イベントに来てくれた学生たちが「参加して良かった」「考えたこともなかった質問に戸惑った」「こんなに選ぶ選択肢があったなんて!(驚いた)」と話しており、手応えを感じています。
10月11日は国際ガールズーデー。「I LADY.」キャンペーンは、「自分たちにとって必要なことだ」と主体的に関わってくれる学生が多い。もともとは日常生活の中であまりSRHRを意識していなかった学生達が、知って驚き、「もっと知りたい」と思って関わってくれています。さまざまな大学からの参加もあり、つながれることもモチベーションになっているようです。そういった学生たちの率直な声や、行動力がキャンペーンを後押ししてくれています。
今回作ったセットを活用し「I SERECT SHOP」を各地で開催したい。すでにガールスカウト日本連盟とも連携が決まっていますが、たとえば、今日登壇していた慶応大学の新居さんが代表を務める「manma」のような団体、その他I LADY.アクティビストが代表を務める「ピルコン」や「しあわせなみだ」などの女性支援を実践しているNPO法人と連携・共催するなど、さまざまな展開・広がりが考えられます。