ILADY

WHAT IS
SRH?


「セクシュアル・
リプロダクティブ・ヘルス
/ライツ」とは?


モデル
立野リカさん

海外ボランティアに強い関心を持つ立野さんとジョイセフが訪れた、ネパールの女性支援現場の特別レポート。前編では、暴力、拷問、性暴力の被害者を保護する施設やセックスワーカーの権利を守る団体を訪問しました。後編では、今を生きるネパールの女性たちの現状をご紹介します。

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-世界のSRHルポ in ネパール PART 2-

⑤  ネパールの田舎町

舗装されていないガタガタな道を走り続けておよそ2時間後。郊外にある小さな田舎町へ到着しました。ここでは、10~50代と幅広い年齢層の女性をインタビュー。突然の訪問でしたが、堂々とまっすぐに質問に答えてくれた彼女たち。悩みを聞くと、やはり医療施設が十分にないという意見が目立ちました。緊急時には医者ではなく、看護師や准看護師の指導のもと、救急治療の設備もない簡易診療所に運ばれるそうです。特に妊婦さんはいざというときに素早く安全な処置を受けることが難しく、出産に不安を抱える女性も。さらに14歳ころから両親に結婚を勧められたり、男の子を授かるまで産み続けないといけないというプレッシャーにさいなまれるそうです。若くして出産し、家庭を優先して学校をやめなくてはならないケースも少なくありません。中にはお見合いなどで相手を決められるのが嫌で、恋人と駆け落ちしてしまった女性も何人かいました。

1.28~57女性
最初に集まってくれたのは28歳から57歳の女性たちのグループでした。

そこで彼女たちの夢を聞いてみると、ほとんどが「子どもにはきちんと教育を受けてほしい」という答え。彼女たちの多くは、妊娠により学校を中退してしまっているので、育児を終えたとしても就職の可能性が非常に限られています。だからこそ彼女たちは、せめて自分の子どもにはちゃんと教育を受けてほしいと強く思っているそうです。自分自身をちゃんと愛せていて、たくましく生きる彼女たちだけれども、「Decide」「Act」をする機会がないことを痛感しました。

2.18~26女性
次に18歳から26歳の女性たちからお話を聞きました。

⑥  Bansbari YOUTH CENTER(バンスバリ・ユースセンター)

最後に訪れたのが、カトマンズ中心部にある、ジョイセフとFPANが運営しているユースセンター。ここでは、ピア・エデュケーターたちが現地の10~20代の若者を対象に定期的にSRHの講座を開いています。特に途上国の若者は、正しい性の情報を得ることが難しいため、多くの思春期の男女が望まない妊娠や出産、安全でない人工妊娠中絶、HIV感染などのリスクに直面しています。さらに、女性であるがゆえに差別を受けてしまう人も少なくありません。たとえば、生理用品を入手できないから学校を休んだり、生理中の女性は「穢れ(けがれ)」と見なされ納屋に隔離されたり。だからこそ、同世代のピア(仲間)の立場から性や健康に関する正しい知識を教わることで、気軽に質問することができます。

3.真剣な受講生
真剣に授業を受ける受講生たち。

4.ピア
男女の身体の仕組みや、避妊方法について教えるピア・エデュケーターたち。

5.集合写真
最後にみんなで記念の1枚。パワーをもらいました!
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たくさんのネパールの女性たちに直接お話を聞くことができた立野さんに、改めて感じたこと、考えたことを聞いてみました。

―日本、アメリカ、そしてネパールの女性たちとの違いや共通点は?

ネパールの女性はとにかくハートが強い!しっかり「Love yourself」できていると感じました。強いて言うなら、少しシャイなところが日本人に近いと思います。たとえば、アメリカは良くも悪くも自己主張をする文化なので、ネパールの子はどちらかというと控えめに感じました。悩みを抱え込んでしまったり、話せる相手がいなかったりするのではないかと心配しましたが、ほとんどの子が「お母さんとは話せる」と答えてくれて安心しました。ただ、性についてはあまり話されていないようなので、そこは何事もオープンに話すアメリカとの違いですね。もちろん、家庭によるので一概には言えませんが…。

―立野さんにとって、世界に共通する大事な価値観とは何だと思いますか?

ひと言でいうと「選択権」です。国境や人種を問わず、いつだって自分の人生を自分で決める選択権があるべきです。たとえ生まれ育った環境が違っても、今の時代はインターネットがあるので恵まれていると思います。いろんな情報を知れば知るほど、自分の小さな世界は着実に広がっていくので。一番わかりやすいのは旅行ですよね。海外へ行くと違う文化に触れることができて、新たな世界をのぞくことができます。私たちには視野を広げる自由があるので、さまざまな生き方があることを知るのが大切だと思います。

―「選択権」はI LADY.の「Decide」につながるところがありますね。

そうですね、ジョイセフが推進しているSRHもこの「Decide」がキーワードだと思います。いつ結婚して、何人子どもを産むのか。結婚をせずに、子どもを産むのか。そもそも、子どもを産みたいのか。望まない妊娠をしてしまった場合、中絶をするのか。どんな状況であれ、すべては自分次第です。けれどそれを自覚できるようになるには、やはり教育が鍵だと思います。教育レベルが高い女性は早婚をする人が少ない上に、お産で母子ともに命を失うことも少なく健康な赤ちゃんを産み、後に子どもにきちんとした教育を与えるそうです。だからこそ、女性の選択肢を増やすひとつの手段として、SRHの教育が大切だと実感しました。自分の身体を知り、大局的な見地で人生計画ができれば、私たちの可能性はもっともっと広がるのではないでしょうか。

編集後記
立野さんの魅力は、誰とでもすぐに打ち解けられること。ネパールの女の子たちともすぐに仲良くなり、スマホの写真を見せ合ったり、いっしょに写真を撮ったり、とてもフランクな姿が印象的でした。一方で、訪問先で受ける団体の説明や女の子へのインタビューに対して真摯に向き合い、自分なりに情報を読み解き、理解できるまで質問をくり返し、どうやったらその問題を解決できるのか?考える姿は真剣そのもの。グローバルなI LADY.アクティビストとして、今後のアクションが期待できます。

モデル
立野リカさん

ファッション誌「Precious」の専属モデルを務め、CM出演などでも活躍中の立野リカさん。アメリカ在住の10代のころにはプロテニス選手を目指していたという体育会系出身。そんな彼女とI LADY.チームは2017年4月、国際協力NGOジョイセフの支援先のひとつであるネパールを訪れました。ネパールでは、ジョイセフがセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRH=性と生殖に関する健康と権利)に関する正しい知識を普及するための活動を行っています。途上国であるネパールを視察した立野さんが見たSRHの現状とは?彼女へのインタビューとあわせて、今回は特別編として現地視察レポートもご紹介します。

―I LADY.キャンペーンのアクティビストになられたきっかけは?

このキャンペーンで掲げている“Love, Act, Decide, Yourself(=自分を大切にし、自分から行動を起こし、自分らしい人生を自分で決められること)”は普遍的なメッセージなので、世界中に広めていきたいと思いました。特に共感したのが「Love」の部分です。

私は2歳からテニスを始めて、大学までプロを目指していたのですが、膝を痛めて引退せざるを得なくなりました。そこで進路を変えて、憧れのモデル業にチャレンジしてみました。ただ、当然ながらテニスとモデル業は別世界。テニスは、毎日コツコツ練習を重ねることで成果が目に見えて出てくるし、対戦相手も明確で、ある程度、自分次第で勝ち負けをコントロールできますが、一方、モデル業は自分の手におえないケースもあり精神的な闘いです。

いずれにせよ、アスリートもモデルも、自分を愛せないとやり抜けない仕事。「Love Yourself」することができて初めて「Decide」「Act」へつながると思っています。自分を愛することの大切さは、国境を越えてどの人種にも共通するからこそ、より多くの女性たちに伝えていきたいと思います。

―ネパールへ行こうと思ったきっかけと目的は?

たくさんの国を知れば知るほど視野が広がるので、海外ボランティアには子どもの頃から興味がありました。特にネパールでは2015年に震災が起きたので、その後の復興状況が気になっていました。
今回はI LADY.アクティビストとしてネパールのSRHの状況を知るために、ジョイセフが支援している医療施設を視察したり、現地の女性たちにインタビューしたりしました。ネパールの中心地から郊外まで、5日間にわたってさまざまな場所を訪問しましたが、新しい気づきや発見の連続でした。

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-世界のSRHルポ in ネパール PART 1-

海外ボランティアに強い関心を持つ立野さんとジョイセフが訪れた、ネパールの女性支援の現場を特別レポートします!

①  NGO IPPFネパール(ネパール家族計画協会:FPAN)本部

最初に訪れたのが、ジョイセフとともにSRHの支援活動をしているNGO IPPFネパール(ネパール家族計画協会:FPAN)の本部でした。首都カトマンズ中心部にあり、空港からおよそ30分。この日は、IPPF ネパールやロンドンから飛んできたIPPF本部のスタッフなどとキックオフミーティングです。

そこでSRHにまつわるネパールの近況を聞くと、早速厳しい現実を知ることに……それは、児童婚、人身売買、性暴力、安全でない人工妊娠中絶、HIV/AIDSなどといった大きな問題がまだ数多く残されていること。そこで、全国で約36,784人の患者さんに対して、FPANが支援サービスやカウンセリングを提供しているそうです。年間で1万人以上に安全な中絶施術を行っています。

1FPAN-clinic
FPANが運営するクリニック。

menu
メニューから選べるさまざまで低価格の避妊方法。

3専門医監修
このクリニックでは専門医による安全な人工妊娠中絶が受けられます。

condoms

誰もがコンドームを自由に持ち帰れます。

②  MAITI NEPAL(マイティ・ネパール)

2日目の朝一番に向かった先が、マイティ・ネパール。ここは、人身売買の被害にあった女性や低所得の子どもたちを保護している団体です。ネーミングの由来は「安心できる家」ということで、カウンセリング、リハビリテーションや医療など被害者のためのさまざまなサービスを提供する施設を運営しています。今まで2万人以上の女性たちを人身売買から救出し、社会復帰できるまで見届けてきています。施設を視察してみて、マイティ・ネパールの活動が、ネパールの多くの女性たちを虐待、搾取、放置、暴力から守っているのがよくわかりました。※彼女たちを守るためにも、保護施設の撮影は一切不許可でした。
5まずは団体
まずは団体活動の説明をしてくれました。

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壁にかかっているのは、保護された女性の肖像画。みなさんとってもキレイに描かれています。

③  CVICT(シビック)拷問の被害者のためのセンター

このNGOは、暴力、拷問、性暴力の被害者のために、カウンセリングとリハビリなどの精神的なサポートと、アドボカシーや啓発活動などの社会的サポートをしています。団体に所属している専門医師は、ハーバード大学医学部出身のドクター。医師という立場から、心理セラピーをはじめ心理学の可能性を強く提唱しています。立野さんも学生時代に心理学を勉強していたので、メンタルヘルスの重要性について熱い会話がくり広げられました。そう、実はメンタルヘルスは非常に大きな問題なのに、ネパールではまだ精神的・社会的サポートの両方の支援ができるところは少ないようです。ここでは心理カウンセリングを通じて、被害者が社会復帰できるまで見届けます。ネパールでは心理面に特化した団体は珍しいので、政府へのアドバイザーとして活躍することもあります。

gate
CVICT (シビック)の正門にて。

④  JMMS 女性セックスワーカーの労働組合(有志団体)

ここは女性セックスワーカーをサポートする団体です。今セックスワーカーをしている女性や元セックスワーカーだった女性に継続して健康診断の機会を提供し、また教育を通して女性のエンパワーメントを実施しています。ネパールの女性がセックスワーカーになるのは、貧しくて働く場所が少ないことが一番の理由です。雇用が少なかったり、学費を払えなかったり、多くの女性たちが「生きるため」に選ばざるを得なかった、唯一残された道だったりします。しかし、売春は法律違反に当たるため、政府に働く権利を認められていない彼女たちに生活の保障はありません。そこで、JMMSはセックスワーカーの権利を訴えつつ、彼女たちが別の仕事に就労できるように支援もしています。

セックスワーカーをしながらこの団体に勤める女性たちは、
家族には「NGOで働いている」と説明しているそうです。

9ポスター(別アングル)
人身売買防止のポスター。自分の意思に反して、売られてしまう女の子を描いています。

ネパールの深刻な問題と直面している団体のお話を聞くことができて、早々に濃い体験ができたI LADY.チーム。この後、ネパールのお正月をお祝いするためにお寺へ行ってきました(2017年ではなく、現地では2074年です!)。活気あふれる街中で笑顔を交わす人々を見て、一瞬心がホッとします…。後編では、郊外に住むさまざまな女性たちの様子をお伝えします。

(つづく)


挿絵1
性教育と聞いて何をイメージしますか?性というタブーな話題をみんなで聞くという、少し照れくさい時間。2003年には教員処分にまで発展する性教育バッシングが起き、2013年には日本テレビで放映された「ニッポンの性教育 セックスをどこまで教えるか」が数々の波紋を呼ぶなど、今もなお、その方向性を模索している日本の性教育。果たして正解はどこにあるのか?今の日本の課題とともに、性教育の現状を振り返ります。


photo

 生殖やホルモンバランスのコントロールをつかさどる女性器は、女性にとって自身の健康状態を知る大事なバロメーターでもあります。なのに、自分の性器の構造を正確に知っている人は意外と少ないのでは!? それだと、もし性器に異変を感じても、“具体的に症状を説明できない”なんてことになりかねません。 
 自分の性器を知ることは、自身の健康を守るためにも大切なこと。毎日髪や素肌をケアするように、見て、触って、性器についての理解を深めていきましょう。
 第1回目となる今回は、外から見える外性器の仕組みと形に迫ります!


1今、不妊に悩むカップルが増えています。2015年の調査では、日本の平均初婚年齢は女性29.4歳、男性31.1歳(※1)となりました。それに伴い第一子の平均出産年齢が30.7歳(※2)と上がっており、妊娠のタイミングが遅くなっていることも背景にあるでしょう。「不妊」というと、妊娠するのは女性だからか「女性の問題」だととらえている人も多いようですが、実は不妊の原因の約半数は男性に関係することが分かっています。


今回は6月5日に三重県「フレンテみえ」で開催されたI LADY.inみえのイベントレポート第2弾です。午後は、I LADY.のアクティビストでもあるモデル堂珍敦子さん、そしてTorch for girls代表の櫻井彩乃さんによるLADY TALK1 「いざというときのために、女子力を高めよう」からスタートしました。

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今、最も注目を集めている日本の重要課題のひとつが「女性の社会進出」です。結婚をしたら仕事を辞めるのが通常とされていた時代と比べて、「バリキャリ」や「ワーママ」など、働く女性を定義する新しい呼称も増えています。総務省が発表した2012年のデータによると、25~39歳のうち働く女性の割合が過去最高を記録しました(※1)。 賛否はありますが「女性が輝く社会」というキーワードは各メディアで頻出し、働く女性たちは日本経済にとって欠かせない労働力となっています。しかし、社会全体で働く女性の活躍が推進される中、彼女たちは3つのリスクと隣り合わせの状況にあることもまた事実です。そのリスクとは、「婦人科疾患」「不妊」「復職」。この「ふ」から始まる3つキーワードについて考えていきたいと思います。