ILADY

I LADY. INTERVIEW


彼女たちにとって「I LADY.」とは?
自分のこと、そして誰かのことを考えるヒントになる、
アクティビストへのインタビューコラム集。

COLUMN#08 読んですぐに女子力アップする今すぐ役立つ、コラム集。歌手/俳優 ダイアモンド✡ユカイさん

音楽活動を中心に、舞台・映画・バラエティー番組への出演など、幅広いジャンルで活躍をするダイアモンド✡ユカイさん。2011年には無精子症であることを公表し、それが大きな話題となりました。そして現在は、自身が経験した男性不妊治療についての認知を広げるための活動も精力的に行っています。そんなユカイさんにとっての“I LADY.”とは?

知っているか知らないかで、その後の道が大きく分かれる

日本ではいまだに「不妊=女性の問題」と捉えられがちで、不妊の原因の約半数は男性にあるという事実はあまり知られていないのが現状です。 ユカイさんはご自身の経験をもとに、男性不妊についての講演を全国各地でされていますが、それを通して何か感じたことはありますか?

2016年から不妊についての情報を発信する「埼玉県こうのとり大使」を務めさせていただいているんですけど、その講演会で学校の保健体育の授業の話になったんですよ。それで、避妊については教えるけど、不妊のことは教えないらしいというのを聞いて、それが若い男性が不妊について関心を持てない原因なんじゃないかなって。実際、10~20代の男性に不妊についての意見を聞くと、他人事のように「まだ興味ない」って声が多いんですよね。

でも、10~20代のうちに不妊についての知識を多少なりともインプットしておけば、30代で結婚しよう、子どもをつくろうと思ったときに、「不妊の検査を受けてみようかな」ってなんとなく気づけるじゃない?もし無精子症だったとしても、パートナーが「それでもあなたと結婚したいんです」って言ってくれれば、絆ももっと強くなるだろうし。一方で、無精子症であることを知らないまま過ごしたら、気づけばパートナーも高齢出産の年齢を過ぎて、これから子どもを授かるのがいかに難しいかっていうのを思い知ることになるかもしれない。知っているか知らないかで、その後の道が大きく分かれるんですよ。

ユカイさんは、ご結婚される前に男性にも不妊があるというのを既にご存知で、それが不妊検査を受けるきっかけになったのですか?

うーん、なんとなくはね……。なんとなく聞いたことはあったけど、それこそ数十万人に1人しかいないんじゃないかっていう感覚だったかな。不妊検査を受けたのは、当時、高齢出産の年齢に近づいていた妻が「検査を受けてみたい」って言い出したのがきっかけです。妻の付き添いでクリニックに行ってみたら、先生が「あなたも調べてみませんか?」って。そのときはビックリしたよね(笑)。「男が何を調べるの!?」って。別にEDでもないし、青い液が出るわけでもないし(笑)、自分では何の違和感もない。だから精子ゼロって言われたときはショックだったなー……。ロックンローラーを売りにして生きてきたから(笑)。それで初めて男性の100人に1人は無精子症っていうのを知ったんです。あと精子無力症っていうのもあるから、それも含めると、男性の不妊は決して少なくない。だから、別に珍しいことじゃないし、恥ずかしいことでもないんですよ。

不妊に悩むカップルの中には、なかなか病院に行きたがらない男性も多いようです。でも、男性不妊だったユカイさんが「恥ずかしいことじゃない」と言ってくれることで、検査に行く勇気をもらえる男性が増えるといいですよね。

検査を受けるのは簡単なことだから、本当は勇気なんていらないんだけど(笑)。でも、こうして“ダイアモンド✡ユカイ”という媒体が役に立つのであれば、自分の経験は進んで発信していきたいですね。実際、講演会を開くと、それがきっかけで初めて男性不妊を知ってくれる人が結構いる。さらに、「治療を経て子どもを授かりました」って報告してくれることもあるんですよ。そういう人の力になれる喜びを知って、音楽で表現することも少しずつ“バカヤロー”から“ありがとう”に変わっていったかな。最近は特に、“ありがとう”って素敵な言葉なんだなと感じていますね。

セックスは諸刃の剣

パートナーとの二人三脚で壮絶な不妊治療を乗り越え、現在はイクメンとしても知られるユカイさんですが、将来3人のお子さんには“性”についてどんなことを伝えたいと考えていますか?

娘とは今は恋人みたいに(笑)仲が良いけど、異性だし、いずれ立ち入れない話題も出てくるだろうと思う。だから親子とはいえ、“性”について話すのはなかなか難しいかな……。でも息子2人には、時期が来たらマスターベーションやセックスのことも含めて、“性”のことは直に教えてあげようと思いますよ。自分は親父からはそういうこと何も教えてもらえなかったから、初めて夢精を経験したときは病気なんじゃないかって思っちゃったんだよね。それで、恥ずかしいけど病院まで行ったんだから(笑)。 それに、セックスっていうのは、人生においてすごくパワーがあるもの。喜びにもなれば、破壊にもなる。そういう“諸刃の刃”のようなものなんだっていうのも伝えてあげたいですね。

「セックスは諸刃の剣」。これは、今の10代へのメッセージにもなりそうですね。

そうだね、だから10代の人には性に対してもっと自主性を持ってほしい。セックスは一歩間違えれば悪いドラッグにもなる。でも、それから自分を守れるのは自分しかいない、誰も助けてくれないんだよ。だけど、自分の中で確立されていれば最高の喜びになるし、それで何かを切り開いていくことだってできるんだから。

10代で出会ったロックは一生の仕事

最後に、ユカイさんのI LADY.”(=Love, Act, Decide Yourself)について教えてください。

“Love”は自分を知ることだね。これって、できそうでできないことだと思うんですよ。実は、自分がいちばん自分のことを知らなかったりする。だから、自分のいいところ、ダメなところを全部を隠さずに教えてくれる人に出会うことも大切かな。そういう意味では、自分のことを教えてくれるパートナーを大切にすることも、自分を愛することにつながるかもしれないね。

“Act”。これは今の子育てのテーマにもなっているんだけど、悩むよりもまず行動するってこと。例えば、子どもが昆虫を見て「この虫何だろう?」って疑問に思ったら、まずは実際に触れてみて、その後に百科事典を開く。行動があるからこそ、感動って生まれるんじゃないかな。

俺の今までの人生でのいちばん大きな“Decide”はやっぱり、21歳のときにロックをやっていくんだって決めたとき。だけどそれまでは、両親は公務員になることを望んでいたし、目指しているものがあまりにも未来の見えないものだったから、それをやっていいものなのかどうなのかって本当に悩んだよ。でも中学2年生でビートルズに出会ったときから、自分が本当にやりたいことはロックなんだって、なんとなく感じてはいたんだよね。

それで大学を留年することになったとき、カーネギーとかナポレオン・ヒルの自己啓発の本を読んで、「自分の好きなことをやってもいいんだ!」って気が付いた。それまでは悩み過ぎるぐらい悩んできたから(笑)。だから、今となっては、その時の俺に「そんなに悩むなよ、やるんだったら徹底的にやれ!」って声をかけてあげたい。ロックのことがとことん好きだからこそ、こうしていまだに続けられているわけだし、これはもう俺にとって一生の仕事だと思ってる。だから、人生の“Decide”において、好きなものに出会うか出会わないかはすごく大きなことだよね。

編集後記

豪快なロックンローラーとしてのイメージがある一方、子煩悩な3児のパパとしての顔も持つユカイさん。本文中では語りきれませんでしたが、インタビュー中には、「自分の歌をどんなに歌い聞かせても泣きやまなかった娘が、“くまのプーさん”で泣き止んだのを見たときにディズニーの偉大さを知った」など、思わず微笑ましくなる子育てエピソードも飛び出しました。また、人生の先輩として、性やI LADY.についてゆっくりと丁寧に語ってくださる姿にも、父性溢れるやさしいお人柄を感じました。


執筆担当:I LADY.編集部 君島友喜/ライター

1986年生まれ。大学卒業後、出版社でのアルバイトを経てフリーランスのライターに。現在は女性向けWEBメディアを中心に、ファッション、ライフスタイル、カルチャーなど多ジャンルで執筆中。


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