ILADY

I LADY. INTERVIEW


「I LADY. 」とは?
自分のこと、そして誰かのことを考えるヒントになる、
アクティビストへのインタビューコラム集。

INTERVIEW#25 読んですぐに女子力アップする今すぐ役立つ、コラム集。産婦人科医・医学博士・イーク表参道 副院長 高尾 美穂さん

産婦人科専門医として堅実なキャリアを積み重ねる一方、ヨギーニとしても精力的に活動を続ける高尾美穂先生。西洋医学からのアプローチはもちろんのこと、東洋医学やスポーツ医学、栄養学など、様々な観点から女性がよりよく歳を重ねていくためのサポートをしています。「女性の生き方」について考え続けている高尾先生がI LADY.にジョインくださったことで、どのような可能性が広がったのでしょうか。


目指すゴールが同じであれば、手を取り合っていけるはず

高尾先生が初めてI LADY.の理念や活動内容をお聞きになった時、どのような感想を持たれましたか?

途上国の妊産婦と命と健康を守る「ホワイトリボン」運動など、世界中の女性を対象に支援をしている、そのこと自体はとても素晴らしいことだと思いました。しかし正直に言うと「世界の前にまずは日本でしょ」と思ったのも事実。
日本は先進国であるにもかかわらず、性教育や中絶数、産後のサポートなど、世界的に見て遅れている現状があるからです。

しかしその後、I LADY.のアクティビスト、そしてスーパーバイザーとして参画いただけることになったのはなぜなのでしょう?

2017年の3月に行われた「WHITE RIBBON RUN 2017」の際に協力してもらえないかと、中村格子先生(I LADY.アクティビスト・スーパーバイザー)経由で声がかかったことがきっかけでした。
「WHITE RIBBON RUN」はジョイセフの活動の中でも“体を動かすこと”にフォーカスした試みですよね。女性の健康を維持するためには運動が最大の予防であると提唱してきた私にとって、これは私がする取り組みだ、と思いました。

思いが合致した瞬間だったんですね。

そうです。今まさにやっていることは違っていても、目指すゴールが同じならば一緒に取り組んでいけばいい。
またこうやって人と人とがつながって協力し合うことは、生きる上で大きな力になりますので、私自身、人と人とをつなげることは大好きですし、また今回のようにつなげてもらうこともたくさんあります。
自分にとって当たり前の知識やスキルも、隣の人にとっては今一番欲しいスキルであることが意外に多いんです。そうやって協力し合うことで、自分一人ではできない新たなものを生み出せるのだと思います。

産婦人科医として、「女性の健康と生き方」に真摯に向き合ってきた

「WHITE RIBBON RUN 2018」のアフターイベントでは、高尾先生によるヨガの時間に大変感動したという声が多数寄せられました。先生はヨギーニとしても精力的に活動されていますが、ご自身を自己紹介する際には職業をなんと答えていらっしゃいますか?

迷いなく「産婦人科医」です(笑)。
ヨガやその他の活動もしていますが、医者という職業は何があっても第一です。
というのも医者になるには莫大な税金を使ってもらっています。最低でも国家資格分の恩返しをすることは当たり前。そのために患者さんと向き合うだけでなく、今でも学会に頻繁に参加し研究を発表したり最新の報告を学んでいます。

先生は数ある選択肢の中からなぜ“産婦人科医”を選ばれたのでしょうか?

人口の半分だけ診ればよいから、というのは冗談ですが(笑)、すべての人間を自分一人で診ることは不可能かもしれない、でも女性のことだけは全力で幸せにしようと決意したんです。ですので女性の健康や生き方についてはとことん向き合いましたね。

“産婦人科医”として最も大切なことはどんなことだと思われますか?

“選択肢”を見せることです。
朝何時に起きよう、何を着よう、何を食べよう、誰と会おう…etc.と、人は1日に最低でも7000回の選択をしていると言われています。
特に産婦人科に関わる選択は、日常の選択以上に責任が伴いますし、そもそも選択肢の種類を知らないことも多いために決断が難しいのが現状です。
そこで産婦人科医ができることは、医者が結論を出すことではなく、患者さん自身で決断できるように選択肢をわかりやすく提示することなんです。
たとえ望まない妊娠だとしてもその人の選択の結果ですし、その後どのような人生を歩むかもその人の選択があってこそ。そのときに医者ができることは、選択肢を数多く示し、その女性の今とこれからにとって幸せな選択ができるように可能性を広げることなのだと思います。
「選択」することの大切さを医者として説いてきましたので、I LADY.の掲げる理念の一つ、
「Decide Yourself(=自分らしい人生を、自分で決められること)」には大変共感しています。

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「運動する」「睡眠をとる」と能動的に「決断」していくべき

日本の女性は欧米各国と比べ、婦人科との付き合い方が下手だと言われていますが、先生はどう思われますか?

二極化していると思います。
妊娠をしたことで人生で初めて婦人科にかかる人もいるくらいハードルが高いと感じている人がいる一方、過剰に気にして週に何度も検査を求める人もいます。
1年に1度、子宮頸がんとエコー検査をしっかりと受けておけば、そんなには問題は起こらないはずなんです。
また婦人科にかかる際には、病院に行く前に病状や聞きたいことをあらかじめメモしておくことをすすめていますね。内診台に乗る前にできるだけ詳細に症状を伝えてください。
“生理が変だった”というとき、患者さんは「一体どうしたら治るのか」とこれからのことを知りたがりますが、医者は「今回の生理が普段と違うのはなぜか?」が知りたいんです。ちゃんと睡眠はとっていたか、ご飯は食べていたのか、運動していたのか、ストレスがかかるようなことはなかったのかetc.
2種類のホルモンの大きな変化の最後に起こるのが生理なので、その生理の前の状況を自身で見直すことはとても大切です。

先生は「予防医学」にとても力を入れてらっしゃいますね。すぐに始められる予防医学にはどのようなものがあるのでしょうか?

最大の予防は「運動」です。1日1万歩歩くとかエレベーターではなく階段を上るようにするとか、簡単なことでかまいません。しかしただなんとなく過ごしているだけでは運動できないはず。ここでも意識的に「運動をする」という「決意」をしなければなりません。
またヨガは体を動かすことに加え、呼吸を通じて心にもアプローチできることから、ストレスマネジメントにもなります。

運動以外にも、食事や睡眠ももちろん重要です。
特に睡眠不足は深刻な状況です。実は日本は、OECD加盟国の中で最も寝ていない国だということを知っていますか?
私たちの年代では1日に7時間から9時間の睡眠が必要です。ティーンならさらに多くの時間をとるべき(National Sleep Foundation より)。
そのためには1日の終わりの余った時間に寝るという考え方ではなく、積極的に「寝よう」という決断をする必要があり、休むことから1日が始まるという発想になることが望ましい。
寝ることでストレスが軽減され、幸福の感じ方も変わってきますので、悩みを抱えて悶々とする暇があったら「まずは寝ちゃって」と言いたいですね(笑)。

「予防」を心がけ運動や睡眠などを改善し意識高く生きることで、医療費の削減にもつながり、本当に医療を必要としている人を支えることにもつながります。

先生は毎日どのくらい運動されていますか?

週に4日は約5㎞走り筋トレをし、そして毎朝ヨガをしています。「決断」せずとも歯磨きをするかのように今では「習慣」になっていますね。
毎日同じことを繰り返すことってとても重要なんですよ。「あれ?なんで今日は足が重たいのだろう」などと「昨日とは違う自分」にすぐに気づけるようになり、それが予防につながります。
女性は男性よりも長生きですし病気になりにくい体を元々有しています。それは生理、ひいてはエストロゲン(卵胞ホルモン)に守られているから。なぜ女性は生理によって健康でいられるのかの意味をよく考えて生きるべきですね。
そのことがわかっていれば、エストロゲンの分泌を止めてしまうような極端なダイエットをしないという「決断」にもつながります。

人生は「Decide Yourself」の連続です。そして決断をするのは自身の持っている過去の経験と知識。
今の自分がしていることが、この先の自分を作ります。
I LADY.と私とをつなげているこの「Decide Yourself」は人生の大きな指針となります。みなさんにもぜひ向き合っていただきたいですね。

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編集後記

難しい医学のお話も、一つひとつ素人の私たちにもわかるよう丁寧に噛み砕き、実感しやすい例とともに教えてくださった高尾美穂先生。ヨギーニ他いくつもの顔を持つ多才な先生ですが、「医者である」ということに、強い責任と誇りを感じていらっしゃることが端々から見て取れ、凛としたオーラを放っていらっしゃいました。チャーミングでポジティブ、そしてユーモア満載の先生ですが、実は過去には壮絶ないじめを受けた経験もあったのだとか。しかしそのすべてが今の「Decide Yourself」につながっているのだと言います。「今の自分は過去の自分が作ったもの、だからこそ今何をするかが重要」、I LADY.はこれからも先生に多くの気づきを与えていただき「Decide Yourself」していきたいと思います。


執筆担当:I LADY. 編集部 吉田奈美/ライター

1975年生まれ。編集プロダクションを経てフリーランスライターとして活動中。雑誌、書籍、Web等で著名人インタビュー、女性のライフスタイル企画、恋愛記事などを担当。単著に『恋愛saiban傍聴記』(主婦の友社)。


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