ILADY

I LADY. INTERVIEW


「I LADY. 」とは?
自分のこと、そして誰かのことを考えるヒントになる、
アクティビストへのインタビューコラム集。

INTERVIEW#17 読んですぐに女子力アップする今すぐ役立つ、コラム集。医師(整形外科医、医学博士、スポーツドクター) 河内 セリアさん

アルゼンチンと日本のミックスであり、そのエキゾチックな魅力で若い女性たちから絶大な人気を得るモデルの河内セリアさん。雑誌やショーで活躍しながら、プライベートでは世界各地の貧困地域などでチャリティ活動に参加してきました。現地のリアルな現状を目にしてきた彼女だからこそわかる、日本と世界のギャップとは? そして、“自分で決断して行動する”ということを何よりも大切にして生きるセリアさんが、同世代の人たちに送るメッセージとは?


SNSから世界のリアルを発信して、チャリティをもっと当たり前に

セリアさんはこれまで様々なチャリティ活動に参加されていますが、チャリティに目覚めることになったきっかけは何だったのでしょう?

父の影響がとても大きいと思います。父の母国であるアルゼンチンはチャリティにとても熱心な国なので、教育として、幼いころから家族と一緒に国内外のいろんな地域でチャリティ活動に参加してきました。だからチャリティを行うことは、私にとって自然と当たり前のことになっていたんです。

海外でチャリティ活動をされていると、まだチャリティ文化があまり根付いていない日本とのギャップを感じることも多々あるのではないでしょうか?

そうですね、まず日本だと、“チャリティに参加する=良い人”と思われがちですけど、例えばアルゼンチンではチャリティに参加することは当然のことであって、やらなきゃいけないこと。だからチャリティ活動をすることは特別なことではありません。
南米では日本と比べて窃盗やレイプ、貧困も多いから、現地の人たちは常に危険な何かが起こるかもしれないという意識で生活しています。だからこそ、助け合うのが当たり前なんです。一方、日本は安全だし本当に住みやすいですよね。平和が普通の環境なので、“チャリティ”という言葉に対する重みが違うのかなと思っています。

日本でもっとチャリティを浸透させるにはどうしたらよいか、セリアさんのお考えがあれば、ぜひお聞かせください。

日本人が海外で起こるような危険を身近で理解するのはやっぱり難しいことだし、チャリティを必要としている国の現状を知るための情報に触れる機会も少ない。だからこそ、私のように海外に行く機会が多い人たちが、その国の良い面だけではなく、ありのままの現状をもっと発信して、深刻さや重大さを伝えていくべきなのではないかと思っています。

実は2016年に、家族でギリシャへ行きましたけど、行く前はみんなとても素敵な国をイメージしていたんです。もちろん、歴史がある美しい国に変わりはないのですが、街にはスリがとても多いし、それを取り締まる警察もちゃんと機能していない。交通機関もすべてが乱れていて……。経済破綻しているとはいえ、想像していたギリシャとあまりにも違う光景にとてもショックを受けました。でも、そういう部分って実際に行った人じゃないとやっぱりわからないと思うんです。
だから私はSNSを使って、自分が海外で見たこと、体験したことをなるべくリアルに伝えるようにしています。それでファンの子たちが世界の現状を知ってチャリティに興味を持ったり、今の自分の生活に感謝できたりするようになってくれれば嬉しいですね。


モデルという仕事のおかげで、私は私でいられた

日本とアルゼンチン、2つの国のバックグラウンドを持つセリアさんですが、過去にはそのことで悩んだこともあるそうですね。

良くいえば私には母国が2つあるけど、悪くいえばどちらにも属していない。だから、日本人でもなければアルゼンチン人でもないんだと思うと、すごく寂しさを感じました。それから、人から“ハーフ”と呼ばれることも嫌だった。そもそも、私は自分のことをハーフだとは思っていないんです。アルゼンチンは国民のほとんどが移民なので、父にもドイツやフランスなど様々な国にルーツがあります。だから、“ダブル”や“ミックス”と呼ばれるなら理解できるけど、“ハーフ”は“半分”の人間と言われているような気がしてとても抵抗を感じました。あと、「どこの国とのハーフなの?」と聞かれるたびに、私がどんな人間かよりも、どこの国籍なのかの方が大事なのかなって。
そんなふうに自分のアイデンティティにコンプレックスを感じていたころは、外国人の父とケンカが絶えない時期もありましたね。今でこそ後悔していますが、「普通のお父さんがよかった」なんて酷いことを言ったこともありました。父はとても厳しい人でもあったから、その厳しさに対しても反抗的になっていたんです。でも、父が私に対して厳しかったのは、自分が日本に来たばかりのころ、外国人ということでたくさんの苦労をしたから、私には強くあってほしいという気持ちがあってのことだったと今では理解できます。

ご自分のアイデンティティに対する悩みを、どのように克服されたのでしょうか?

それは、このモデルという仕事のおかげです。子どものころからずっとモデルの仕事をしていますが、この仕事では国籍とか関係なく、私という人間をモデルとしてのスキルや人間性で認めてくれるんです。学校で周りの人と自分は違うんだと感じることはあっても、仕事の現場でそれを感じることはありませんでした。だから、自分のオアシスみたいに思えてモデルの仕事が大好きになったし、自分のことも認められるようになりました。

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“Decide Yourself”(自分の人生を自分で決める)を実行するには、まず自分を知ること

セリアさんのSNSには、若い女性たちから毎日たくさんの悩み相談のメッセージが来るそうですが、例えばどんな内容なのでしょう?

相談の内容は仕事、人間関係、恋愛と本当にいろいろあります。ただ、その多くに共通して言えるのは、みんな自分で自分のことをあまり理解していないんじゃないかなということ。例えば、「このとき私はどうするべきでしたか?」とメッセージで聞かれることがあるんですけど、それって自分のことを本当にわかっていれば選択で悩むことはないと思うんです。だって、自分がどういう人間かを知っていれば、こういう選択をしたらこういう感情になるだろうなとか、こう思うだろうなってことが想像できるじゃないですか。でも、人からどう見られるか、どう思われるかの方を気にしてしまうから、本当の自分の気持ちがわからなくなってしまう。だからみんな自分で解決できなくて、第三者に答えを求める。だけど、相談された第三者もその人のことはわかりませんよね。だから私も、「じゃあ、あなたはこうするべきだった」というようなことは言いません。そのかわりヒントとして、「私だったらこうしたと思う。でも、あなたが意志を持って決めたことなら、どんな選択でも間違いではないんだよ」というメッセージを伝えるようにしています。

セリアさんのそのメッセージは、I LADY.キャンペーンが掲げる“Act Yourself”と“Decide Yourself”にも通じますね。

はい、だからこそ私はI LADY.キャンペーンのアクティビストになろうと思ったし、ファンの人たちにも自分で決断して行動することの大切さを知ってもらいたいと思いました。小さなことでも大きなことでも、人生ではたくさんの場面で“選択”に迫られます。そこで悩んだり後悔したりしないようにするためには、やっぱり自分自身を知ることがまずは必要だと思うんです。私は昔から父に、「自分がどんな人間かを説明できる人になりなさい」と教えられてきました。学歴や地位、所有物なんかで自分を語るのではなく、「自分はこういうふうに生きてきたから、こういう人間なんだ」と、自分の本質を説明して理解してもらえるような人生を送りなさいって。幼いころはこの言葉の意味を理解することはまだ難しかったんですけど、最近になってやっと大切さがわかってきました。自分を理解していれば、自ずと自分が選択して行動すべきこともわかってくるし、自分のことももっと愛せるようになる。だから父のこの教えは“Love Yourself”にもつながることなんですよね。

2016年、セリアさんには「I LADY. in ふくおか」のトークショーに登壇していただきましたが、その際に学生たちとの会話で特に印象に残っていることはなんですか?

みんなの“男らしさ”“女らしさ”に対する基準です。女性をリードする亭主関白な人が力強い男性像のイメージで、その男性をしたたかに追いかけて立ててあげるのが理想の女性像。でも、実は女の人が男の人を尻に敷いてるんだよっていう考えを理解するのが、私には難しかったですね。男であっても女であっても、できることできないことは人それぞれなのに、「何をできるか」や「何をしてあげるか」で、“男らしい”“女らしい”につながるというのが不思議でした。アルゼンチンでは男か女かは関係なく、その人個人の能力でできることを判断します。例えば日本では、「男だから重いものを持ってあげる」という感覚なんでしょうけど、アルゼンチンでは「僕の方が重いものを持てるから持ってあげる」という感覚です。もし女性の方が体力あれば、女性が重いもの持ってあげればいいし。だからそもそも、お互いをケアするのに何が“男らしい”か“女らしい”かなんて関係ないんですよね。

ほかにトークショーで伝えきれなかったことがあれば、これを機会にぜひお聞かせください。

家族との関わり方についてもっとお話ができればよかったなと思っています。学生時代の日本人の友人の中には、もう父親と何年もまともに喋っていないとか、帰宅しても家族と会わずにそのまま自分の部屋に行ってしまうという子がいて、それを知ったときは本当にびっくりました。家族がいるのに必要ないだなんて思えるのかすごく不思議で……。
若い世代の人たちにはもう一度自分の家族との関係性に目を向けて、絆を大切にしてもらえたらと思っています。

最後に、今後のアクティビストとしての目標をお聞かせください。

ジョイセフが支援活動を行なっている国へ、私も途上国や被災地など現地視察に行きたいと考えています。そして、そこで見たこと聞いたことを、すべてありのままに伝えていきたいです。モデルという仕事は、みんなが“キレイ”“美しい”と感じるものを見せることが仕事だけれど、仕事では出会えないヒト、モノ、コトをありのままに発信することで、ファンの人たちの心を動かせればいいなと思うし、そこから何かのパワーが生まれてくれればうれしいです。

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編集後記

チャリティ活動への高い意識と、しっかりとした“I LADY.”な考えを持つセリアさん(25歳)。その背景には、お父様をはじめとした家族へのとても大きなリスペクトが感じられました。また、10~20代の女性たちへ大きな影響力もあることから、次世代を導いてくれるアクティビストとなってくれることを期待しています。


執筆担当:I LADY. 編集部 君島友喜/ライター

1986年生まれ。大学卒業後、出版社でのアルバイトを経てフリーランスのライターに。現在は女性向けWEBメディアを中心に、ファッション、ライフスタイル、カルチャーなど多ジャンルで執筆中。


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